「査定書の作り方が分からない」
「訪問アポをとれたのに査定書を使った営業の仕方が分からない」
不動産一括査定サイト経由で訪問アポを取得できた場合、査定書の作成は必須である。
しかし、せっかく訪問したのに査定書を有効活用できず、商談を水に流してしまったという経験はないだろうか?
そこで今回は、訪問査定時に持参する査定書の作成方法、訪問時における開示のタイミングなどをまとめた。
「大手に査定書で負けている気がする」「しっかりとした査定書をつくりたい」「査定書を有効活用して受託率をあげたい」と考えている方は参考にしてほしい。
査定書はいつ作る?
査定書の作成時期は、一括査定サイトの売主に対して作る場合と、そうでない場合で異なる。
【通常の査定の流れ】
1. 査定のため一回目の訪問(室内や建物状況を確認する)
↓
2. 事務所に戻り査定書作成(一回目の訪問で確認した状況を反映させる)
↓
3. 査定報告のため二回目の訪問(査定書を用いて説明)
↓
4. 媒介契約獲得
【一括査定ならではの査定の流れ】
1. 訪問アポイントが取れた段階で、査定書の作成
↓
2. 一回目の訪問時には査定書を持参
↓
3. 初訪問で媒介契約取得を目指す
見てもらえば分かるように、一括査定サイト経由で取得したアポイントの場合は、一回目の訪問で勝負を決める必要がある。なぜか?
それは、一括査定サイトの反響には、競合企業が高確率で存在するからである。
査定のための訪問と、報告のための訪問を分けている余裕はない。そんな悠長なことをしている間に商談は競合に持っていかれてしまうのだ。
「一回の訪問で決め切る」
まずはこれを念頭に置いて、査定書作成時のポイントについて見ていこう。
査定書作成時のポイント
査定価格の書き方
査定価格を「2,800万円~3,100万円」のように1パターンだけ記載するのはNGである。
価格の記載が1パターンならわざわざ訪問する必要もない。
査定書は“媒介契約を獲得するための提案資料”であるという認識で活用してほしい。
正しい記載方法
・査定価格 \2,900万円~\3,100万円
(売主の歓心を買いたいからと言って金額を操作してはいけない。正確な数字を記載する)
・売り出し価格 \2,980万円
(購入客の値切り代を考慮した販売価格を提案する)
・上限価格(チャレンジ価格) \3,150万円
(売主の希望売却価格をあらかじめ想定し、記載する)
物件に関するコメントや販売方法を書く
杓子定規な内容の査定書では媒介契約は取れない。
媒介契約を取得するためには、売主に、実際に売却活動をした際のイメージを与える必要がある。
だからこそ、物件に心を通わせた個別のコメントや、具体的な販売方法について記載しておくことが重要であり、これらを記載しない他社との差別化ポイントにもなる。
社内、部署内全員の捺印
机上査定の場合は、ここまでやれとは言わないが、
媒介契約の取得がかかっている訪問査定の場合は、少しでも
「これは会社から許可を得、あなたのために作成した正式な書類」という印象を与えるため、社内、もしくは部署内全員の捺印をもらおう。
ページ数や順番
1. 最初に会社案内ページ
単なる査定額の通知に来たのではなく、“物件を預けるにふさわしい会社の人間”として会いに来たという印象を与えるためにも、会社案内のページは最初が好ましい。このスタートダッシュをうまく切れるか否かで受託率は大幅に変わってくる。査定金額が1ページ目に記載されているのは最悪だ。
2. 詳細な計算式は一番最後
物件を売ってもらう方向に話を持っていく際、途中で詳細な計算式が出てきてしまうと、
価格の話で着地してしまい、本来のゴールにたどり着けなくなる可能性が高い。
必要ないとは言わないが、商談時に話の中心にならないよう、計算式は最後に記載しよう。
3. ページ数は最低でも10ページ。綺麗に製本
10ページというのは最低ラインである。
ページ数がこれ以下だと「簡易的な査定書で、価格だけ教えに来てくれたんだな」という印象で終わってしまう。
綺麗に製本は、プロの不動産会社ならば当然だ。
査定書はいつ見せる?
訪問時、査定書はどのタイミングで見せるのが正解か?
1. 訪問してすぐ
2. 一通り室内を拝見した直後
3. 不動産売却の流れ等の説明が終わった後
4. 売主の売却理由と希望価格確認後
正解は4の売主の売却理由と希望価格確認後である。
早い段階で査定書を開示してしまうと、せっかくのアポイントが価格の話だけで終わってしまいかねない。
査定書を出すのは、売却理由と希望価格のヒアリングが終わってからにしよう。
とはいっても、必ず査定書を見せなくてはいけないというわけではない。
査定書を見せずに媒介契約を取得することがベストである。
最後に
今回は、不動産一括査定サイトで獲得した訪問時に持参する、査定書関連のノウハウをまとめた。
競合企業との戦いは、反響が入ってすぐの初期対応だけではない。査定書の良しあしに関わらず、最も顕著に差が出るのは訪問時である。
訪問時の姿勢や商談の進め方は、また別の記事にまとめようと思う。