不動産一括査定はアポイント次第⁉実力企業がアポにこだわる理由を公開

2021年7月12日

 

『反響の質が薄すぎる…』

不動産一括査定サイトを利用したことのある不動産会社の営業マンは必ず一度はこう思うのではないだろうか?

査定依頼を獲得してみたものの、エンドユーザーに電話をするなり、『売る気はない』『電話してくるな』『連絡はいらない』等の発言を受けストレスばかりが溜まっていく・・・。

そんな中、世の中には不動産一括査定サイトを10年以上に渡り運用し、継続的に利益を出す中小零細企業がある。
彼らはどのようにして査定サイトを運用し、成果を出しているのだろうか?
この記事では、不動産一括査定サイトを最大限活用する企業の考え方について解説していく。

KPIと営業の本質

KPI=「Key Performance Indicator」の略である。日本語では「重要業績評価指標」と呼ばれ、目的の数字をだすために到達しなければならないプロセス量を表す指標である。

例えば、売上を1.5倍にするために、『チラシを先月の1.5倍投函しよう』『来店客を1.5倍にしよう』などがそれである。
KPIは企業ごと、部署ごとに定義され、これが正解という簡単なものではないが不動産一括査定サイトを高いレベルで活用する企業のほとんどが『アポイント数』をKPIにしている。

営業の本質

業種業態は変われど、営業の本質とは『回数×質』である。回数とはアクション回数のことであり、電話や飛込み、商談件数等のことを指す。
質とはアクションそのもののクオリティを指す。これが世界共通の真理であり、営業の本質である。

不動産一括査定サイトのKPIを『アポイント数』にしている企業は、”回数”とは会って話すことなのであり、査定反響を獲得する件数ではないとはっきり認識している。反響がどのような内容であれ、目的の数字を出す一番の近道が『アポイントを取得し、まずは会う』ことであると理解をしている。

ネットで獲得する個人情報

不動産の世界は反響ありきの世界である。自社HPもポータルサイトも使用しないという企業は極僅かであろう。
インターネットの普及で、自らWebマーケティングを試み、集客を行う個人・法人も増えてきた。しかし、これがなかなか難しい。

インターネット上で、個人の氏名・電話番号・住所など複数の項目を獲得するのは、実は至難の業である。

ましてや不動産を生業とする人間が、本格的にWebマーケテインングを学習し、現場に落とし込むとなるとかなりの時間を要するであろう。
自社HPを強化し、SEO対策をし、広告を打ち出す。かつて、不動産ポータルサイトに失望し、自らWebマーケティングを行った不動産会社を見たがその結果は悲惨であった。一件の反響を獲得するまでに、ポータルサイトの数十倍の金額がかかり、尚且つ一番期待していた「反響の質」は何も変わらなかったからである。

その後、その企業が再びポータルサイトを活用し始めたのは言うまでもない。

顕在的なニーズだけを獲得できるか

インターネットで特定のニーズが約束された反響を獲得することは可能だろうか?

結論、それなりの反響は用意できる。

しかし、その反響を不動産一括査定サイトと同水準の価格帯で買うことは到底無理だ。しかもそういった反響は多くの数を用意できないので「堅いニーズ」ばかりの反響を提供する業者はこの世に存在しない。商売にならないからである。

つまり、Webマーケティングを自ら学び、金額を張る覚悟で時間を掛け、自分でやるしかない。この時、自らのWebマーケティングで獲得できた反響が、自社の利益にどれだけ貢献するであろうか。専門家を配置しない限り、前述した不動産会社のようになるのが一般的であるのは間違いないだろう。

アポイントがすべての始まり

話しを戻そう。
アポイント数を不動産一括査定サイトの主要KPIに用いる会社は、「会わなければ何も始まらない」とし、売上・利益を語る前に「アポイント獲得の方法論と数」を語る。査定反響が届いた際の質の話しではなく、いかにアポを取るかを研究する。

例えば、「売る気はないので、メールで結構です」とエンドユーザーに言われた際、あなたならどう動くだろうか?

一括査定サイトを利用するエンドユーザーは「一括査定・比較の利便性」で問い合わせをするのであって、企業を選択する利便性で問い合わせをするのではない。
従って、エンドユーザーは「一括査定・比較の利便性」で問い合わせをしてくることを前提としたトークが必須となるのである。

エンドユーザーの利益とアポの約束

営業マンの性からか、初回の電話でアポのチャンスを自ら捨て去る言葉を多用してしまう会社もいる。
それは「いつ売りますか?」「いくらで売りますか?」「なぜ売るのですか?」これである。

エンドユーザーは「一括査定・比較の利便性」で問い合わせをしてくる。売ることを前提としたトークを展開されると、ニーズのミスマッチが生まれ、直感的にその企業を選択肢から外してしまう。アポイント取得トークで最も重要なのはエンドユーザーの「利益と約束」である。

利益とは、物件の査定価格のことだけではない。総合的に会うに値すると判断させることであり、印象値と同義である。
約束とは、アポイントの日程を確定させることである。ダラダラと話すのではなく、アポイント取得の目的を完遂することである。

アポイントをKPIとする不動産会社は、「商談という名の打席」に何回立つのか、という営業の本質を見ている。
そして、変化球にも対応できるように「トークの質」「トークの標準化」を考えている。
結果として、今クロージングできなかったとしても、エンドユーザーの家の中には、あなたが持参した名刺と営業資料が保管されることになり、エンドユーザーの環境が変わった際に、再びお問合せを貰うチャンスの種を撒くことにも繋がるのである。

出来る営業マントーク


出来る営業マンは「売る気が無い」「メールでいい」と言われても、諦めずにアポイント取得を目指す。具体的には、「会う理由を変える戦術」であり、エンドユーザーが利益と感じるポイント探る作業である。ある東京都の企業の一例を紹介しよう。
例えば、「売る気が無いから机上査定でいい。メールで送ってくれ」と言われたとしよう。その際に、全国の出来る営業マンは「承知致しました。データが重いので、郵送にて査定書をお送り致します」※1とまずは答える。

そして「ちなみに、査定価格はタイミングにより変動することはご存じかと思うのですが、〇〇様の物件と似た不動産の過去の売買実績情報を無料でお渡しすることもできます。
未来の売り時の参考になればと思いますが、将来のいかなる状況にも対応しやすいように今回ご一緒にいかがですか?」※2と尋ねてみる。

エンドユーザーが「じゃ、ついでに貰うよ」と答えたら、「承知致しました。一緒にお渡しさせて頂きます。お休みはいつも〇曜日ですか?」と聞き
エンドユーザーが「〇曜日ですね(そうですね)」と答えたら

「あ、そうなんですね!今週と来週の〇曜日はご近所の〇〇スーパーの近くのお客様のところに資料をお届けして無料相談を実施する日なのですが、〇〇様にも直接査定書と売買情報をお持ちしますよ。ご挨拶もかねてぜひ行かせてください。お時間はそこまで頂きませんので。〇〇エリアは私が担当で誰よりも物件情報に詳しい自負もあります!」※3と言い切るのである。そしてこのトークをお断りされれば、次のトークを展開し、もう一度アポイントの取得を試みるのである。時間にて僅か数分。粛々とKPIを達成させようとするのだ。

※1=エンドユーザーのご意向を承認する。郵送する旨を伝える。データは埋もれるが製本された書面は保管してくれる可能性が高まる。
※2=査定価格以外に提供できる価値を伝える。
※3=会う理由を変え、再度アポイントの約束を取り付けにいく。

まとめ

以上、KPIにアポイント数を用いる企業について紹介した。

不動産一括査定サイトからエンドユーザー情報を獲得するということは、「エンドユーザーの第一義的な目的」を理解して対応し、不動産会社はまず「会う・関係性をつくる」所がスタートなのである。
近年では、地域で有力な看板を持つ企業でさえ、このロジックを理解し、接触ポイントに重きをおいて案件を作っている。
不動産一括査定サイトで「顕在的なニーズのみを獲得」することは不可能であり、独自の戦い方を研究していく必要がある。

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