「売る気はない」
「価格を知りたかっただけ」
不動産一括査定サイトの反響ユーザーに電話をかけたら、こんなことを言われたという経験はないだろうか。
「反響が来たら、即電話することを心がけて実践していたのに、そもそも売る気がないって、意味ないじゃん。」
このようなストレスが蓄積した結果、査定サイトを辞めたという不動産会社もさぞ多いことだろう。
しかし、このようなユーザーの発言の意図を理解し、受託に繋げているという不動産会社も存在する。
今回は、即売却したいと考えているユーザーを除いた「売る気はない」と言ってくるユーザーの心理と、そのようなユーザーに出会った時の対処法についてまとめた。
この記事が、査定サイト利用企業もしくは、かつて査定サイトを利用していた企業の反響営業に役立ってくれると嬉しい。
ユーザーが「売る気はない」と言う理由
ユーザーはなぜ「売る気はない」「価格を知りたかっただけ」と言うのか。
本当に売却意思は0%なのか。たしかにインターネットの無料サービスなので、そのようなユーザーもいないとは言い切れない。
しかし、いったん冷静に考えてみてほしい。
査定依頼を出すには物件情報に加え、詳細な個人情報も入力しなくてはいけない。
また、サイトにもよるが売却理由や、売却時期、名義人や否かなど、単純に物件査定をするだけなら必要のない情報も入力項目となっている。
多数ある必須項目を記入せねば、査定依頼を送ることができないのだ。
つまり、
単に興味本位で「うちの家いくらだろう」と思っているユーザーにとって、入力フォームの項目をすべて埋め、情報を送信することはだいぶヘビーなのである。
では、なぜユーザーは“売る気はない”等の発言をするのか。
それは、不動産会社の積極的な営業に対しての単なる拒否反応の現れである。
いきなり知らない不動産会社から電話がかかってきて、売却の話を持ち掛けられたとき、ユーザーの頭の中はパニック状態になる。そんな状況を打破する一つの手段として「売る気はない」や「価格を知りたかっただけ」等の発言をするのだ。
実際に不動産を売る可能性は何%?
“売る気はない”が単なる営業拒否の発言なのだとしたら、実際に売る可能性はどれくらいあるのか。
確かにパニック状態とはいえ、“売る気はない”と言ったユーザーの売却可能性は高いとは言えない。しかしそれは、初接触をしたその瞬間の話である。
あくまで、一括査定サイトは不動産の売却フローのなかでも、もっとも初期段階のサービスなのだ。
ただし、初期段階のユーザー=見込み度が低いユーザーのように思わないでほしい。確かに査定サイトを利用するのは見込み度が高いユーザーばかりとは言えないが、一方で同業他社(大手含む)が発見できない将来の売主、つまり潜在売主をいち早く見つけられるサービスなのである。
今回取り上げているユーザーも、査定サイト利用時に、「まさか自分が家を売ることになる」とは思っていない。そのため不動産売却について、積極的に調べているわけでもなければ、不動産を売ることにより得られるメリットも知らない。そのようなユーザーが不動産売却と聞いて、直感的に連想するのは、
持っている資産を手放す
ということだけである。
では、どうすればこのような潜在売主が、自分の不動産を売却する気になるのか。それは、
ユーザーに“売ることによるメリット”を与えることである。
潜在売主には、売ることによるメリットが見えていない。だからこそ、売ったらこんないいことがあるんだよと感じさせる必要があるのだ。
では、売主にとってのメリットとは何か。
儲かるなら売る
不動産売却をするうえで、売主が得られるメリットとは何か。それは、
売ることにより、儲かる
ことである。
仮に、初めは全く売る気がなかったとしても、本来想定していた額より高く売れるとしたら、必ずと言っていいほどユーザーは売却することを連想する。
儲かる話が目の前にあるのに、自らその可能性を捨てようとする人はまずいない。
ここで重要なのは、実際に高く売るか否かではない。「この不動産には、売却すれば儲かる可能性が少なからず眠っている」とユーザーに思わせることである。
「この家には相当な思い入れがある」だったり「不動産の権利関係がやたら複雑である」という特別な事情を持つユーザーでないかぎり、儲かる話には耳を貸そうとするはずだ。
“売る気がない”ではなく“売る気になっていない”だけ
前述のとおり、不動産を売却することにより儲かるかもしれないと思わせることが、ユーザーを売る気にさせるための第一段階だ。だからこそ、不動産会社の担当は“売る気がなさそうな雰囲気”だけで、ユーザーに見切りをつけてはいけない。
不動産一括査定サイトで成果をあげられる会社とそうでない会社の最大の違いは、
同じユーザーをどれだけ売る気にさせるか
である。
既に売却を検討していて、受託先を探しているようなユーザーなら、どの会社でも契約がとれるだろう。一方で、査定依頼時には全く売却を検討していない潜在売主をどれくらい売る気にさせられるかは不動産会社によって大きな差がある。
だからこそ、ユーザーに「売る気はない」と言われた瞬間にどのように振舞うかにより、成果の可否はほぼ決まってしまうのだ。
最後に
「売る気はない」「価格を知りたかっただけ」とユーザーに言われた際は、
儲かるイメージをさせ、売る気にさせる。
これが最重要事項であると述べてきた。
では実際にそうなった場合、どうするべきか。
それはまず、ユーザーと会うこと。そして、査定依頼の経緯と真の売却理由を聞きだすことである。
なぜなら、ユーザーの置かれている状況や人となりが分からなければ、的確な売却提案(売る気にさせる提案)ができないからだ。それらをどのように聞き出すか、どのようにアポイントをとれば良いのかは、また別の記事にまとめようと思う。