「不動産一括査定サイトの反響から訪問アポがとれた。査定書と提案資料を作って準備万端だ!」
おっと、本当にそれで準備万端なのだろうか?
私には最も重要なことを見落としてしまっているように思える。
そもそも、何をしに売主宅に訪問するのか。そう、売主に不動産を受託してもらうための商談をしに行くのだ。
不動産一括査定サイトはネットサービスなので、実際に会うまで顔が見えない。だからこそ、訪問までに徹底的に売主のことを分析しておかないと、最適な提案もできないはずだ。
そこで、今回から全3回にわたって【査定サイトで受託率向上】顧客情報を徹底分析というテーマに沿って3パターンの手法を紹介する。
第1回である今回は、実際に不動産一括査定サイトから送客された情報を利用した分析方法についてまとめた。
これは、査定サイトを利用している企業すべてに通ずる内容なので、ぜひ日頃の運用に生かしてほしい。
送客情報を読み込む理由
不動産一括査定サイトで獲得できる情報といえば、
・物件の種類(戸建て、マンション、土地など)
・住所
・部屋番号(マンションの場合)
・建物面積
・土地面積
・間取り
・築年数
・査定物件の現況(住んでいる、貸している、空き家など)
・名義
・依頼者氏名
・携帯電話
・メールアドレス
・依頼理由
・売却希望時期
・年齢
・要望
あたりだろう。
査定反響を取得した際に、あなたはまずどこを見るか?
敷地面積?築年数?住所?売却理由?
重要なのは、情報のいくつかだけを見るのではなく、すべての情報を隈なく確認するということだ。
そして、送客情報を隈なく確認していくと、売主が査定依頼をした理由・背景のようなものが浮かんでくる。これは、売却の確度とは別である。
確度が高いか低いかはもちろん重要だが、訪問して商談するうえで知っておかなくてはならないポイントとは少しずれている。
売主の分析、査定依頼の背景を知っておけば、より的確な売却提案が可能となるのだ。
それでは、どのように分析していくか。
2つほど例を挙げて紹介したい。
事例1
<重要情報>
・年齢→55歳
・ご依頼の理由→相続
・物件の名義→名義人の家族、親族
・築年数→54年
上記の情報を元に、相続した実家の売却案件で相続登記未了の案件と推定することができる。
この案件の場合は、相続登記を行う司法書士を紹介できれば、受託の可能性は大である。
事例2
<重要情報>
・物件種別→分譲マンション
・年齢→35歳
・氏名→山本恵子(女性と判断)
・物件の名義→名義人の家族、親族
・築年数→6年(築浅物件)
・要望→連絡は携帯へお願いします
上記の情報を元に、離婚案件と推定することができる。
この場合、連絡はかなり慎重にせねばならない。
また、残債オーバーの可能性も高いので、抵当権や任意売却、住み替えローンの話に持っていけると良い。
メールアドレスにもヒントが
メールアドレスで着目すべきは、@以降のドメイン部分である。
ドメインとはインターネット上の住所のようなものであり、個人だとgoogleやyahoo、その他ドメインサービスでメールアドレスを取得することができる。
今回着目したいのは、googleやyahoo、携帯キャリアによって作成したメールアドレスではなく、企業の独自ドメインを持つメールアドレスだ。
メールアドレスの企業ドメイン部分を検索エンジンで検索すると、ほとんどの場合企業のHPが開かれる。
売主が勤務先のアドレスで査定依頼を出している場合は、このドメインで検索すれば勤め先の特定が可能となるのだ。
もし、訪問するのであれば、売主様の企業情報を知っておくと商談時に話のネタにすることができるかもしれない。
これも立派な戦略であり、分析ありきのものだ。
最後に
今回は、不動産一括査定サイトの送客情報の読み込みについてまとめた。
このように、反響を取得した初期段階であっても、送客情報を読み込めば売主の背景を推測することができる。
数個の情報だけで判断するのではなく、すべての情報を読み込み総合的に精査することが重要だ。
行き当たりばったりの出たとこ勝負で査定訪問に挑むのではなく、
知り得た情報を精査し、事前に仮説を立て、十分な準備を整えたうえで臨んでほしい。
次回は、送客情報の利用方法パート2について紹介する。