【査定サイトで物上げ】顧客情報を徹底分析③|登記簿謄本に隠されたヒント

2020年5月28日

あなたは査定物件の登記簿謄本を取得した際、どこを読んでいるだろうか?

「登記簿謄本なんて、敷地面積や延床面積、建築年月を見るくらいであまり真剣に見ていない」という営業担当者は多いだろう。

もし、あなたがそうならば絶対に損をしている。

不動産一括査定サイトをはじめとしたネット集客経由の顧客は、ただでさえ顔が見えないため顧客のイメージがしにくい。
登記簿謄本を取得したとしても、上記のような不動産に関する情報にしか目を通さないのは非常にもったいないのだ。

なぜなら登記簿謄本は情報の宝庫であり、売主攻略のヒントが満載だからだ。
厳しい言い方にはなるが、登記簿謄本の読み込みもできない営業担当者は不動産仕入れに関わる資格がない。

前回から全3回にわたって【査定サイトで受託率向上】顧客情報を徹底分析というテーマに沿って3パターンの手法を紹介している。

3回目の最後である今回は、登記簿謄本を読み込むことで見えてくる売主攻略のヒントについてまとめた。
「不動産のプロとして当たり前だよ」と感じる方もいるかもしれないが、再度実践できているか確認してほしい。

登記簿謄本のどこを見る?

査定をする物件の登記簿謄本を取得した際に、不動産のプロはどこを見るだろうか?
絶対にチェックしたいポイントは以下の4つだ。

・権利関係の動き
・どの金融機関で、いつ、どれくらいの借り入れをしているか
・新築で買ったのか、中古で買ったのか
・登記名義人は未だ健在なのか否か

これらを見てもらえば分かるが、すべて“人”に関する情報である。
冒頭で例に挙げた敷地面積や延床面積、建築年月はすべて“不動産”の情報であり、媒介をとろうと思って売主営業をする際には“不動産”の情報より“人”の情報に着目すべきだ。

なぜなら、営業担当は“不動産”に営業をするのではなく“人”に営業するからである。
とはいえ、“不動産”の情報を見なくても良いということではない。

登記簿謄本に記載されている情報は隅から隅まで読みつくしてほしい。

登記簿謄本から分かる基本的なこと

登記簿謄本の内容から分かる基本的なことはさまざまだ。
4つほど例を挙げて紹介しよう。

ケース①
登記原因が財産分与の場合
離婚を原因とする所有者移転が行われている。

ケース②
根抵当権が設定されている場合
⇒売主は商売人(会社経営者)である。⇒事業用の資金を借りたり、返したりする際に便利だから。

ケース③
商売人(会社経営者)でない売主が根抵当権をつけている場合
リバースモーゲージを利用している可能性大。
※リバースモーゲージ・・・シニアの方が生活資金等を捻出するために、自宅を担保に借り入れを行うサービス。

ケース④
中古で購入した際の売主が不動産業者の場合
⇒購入した頃にリフォームされている可能性が高い。⇒買取再販物件を購入していることになるから。

他にも分かることはたくさんある。
登記簿謄本を読みながら売主の背景を回想する癖をつけよう。

不動産のプロとしてチェックする項目

不動産のプロが登記簿謄本の内容で当然調べておくことを以下に列挙する。

・「差し押さえ」等がついていないかを確認する
・残地求積の場合は公募と実測に違いが出るかもしれないので確認する
・地目が「田」や「畑」でないか確認する
・隣地所有者を調べる
・前面道路所有者も調べる

案件化させた事例

登記簿情報の読み込みから、案件を有効化させた事例を紹介する。

【カギとなる登記簿情報】
・妻の実家が持っている土地の上に、依頼者が自宅を建築
・建物の名義は依頼者が3/5、妻の両親が2/5所有
・資金援助があったのかもしれない。
・住宅金融公庫の債務者 は依頼者のみ(つまり物上保証)

⇒ キーマンは依頼者ではなく、依頼者の妻及び妻の実家と推測できる。決定者を見誤ることなく案件化できた

このように登記簿情報を隅から隅まで、ストーリーを理解しながら読めば、
案件化につながるヒントは見えてくるはずだ。

最後に

今回は、登記簿謄本を読み込むことで見えてくる売主攻略のヒントについてまとめた。

不動産仕入れの営業、特に売主への営業に携わる者は登記簿情報の隅から隅まで読み、
その不動産に関わる“人”の情報、背景を理解することが大前提である。

不動産一括査定サイトで得た顧客情報だけでも、うまく利用できている人とそうでない人では、受託率が大きく異なってくる。
不動産業に携わっているからには、情報の収集に全力を注いでほしい。

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